9月1日の思い出

今日はお昼までのんびりして

午後は母と、祖父のいる介護施設を訪ねた。


祖父に会うのは久しぶりで、

もう認知症の祖父は私を覚えてはいないんだろうな~

と思いながら祖父の部屋に入ると、

祖父は寝ていた。


なんだかすごく小さい。

脚も私と違ってすごく細い。

しばらくすると、目を開けたので

「じいちゃん、元気?」

と聞くと、「どこの誰ぞ」。まあ、仕方ないか…。


母が、自分の息子の子供で、じいちゃんの孫だよ!

と説明したが、祖父はへえ…といった感じだった。

わたしはあきらめていたので、そこまでショックではなかった。


祖父の身の回りを母と整理しているときも

祖父は「わしはこれから習字教室を開くぞ」「生徒は50人くらいは入れたい」

「そしたらお金が稼げるやろ」と、いきがっていた。


しばらくして、もうそろそろ帰るとなったとき、

祖父は起き上がって窓から見える景色を私たちに見せてくれた。

祖父の部屋からは、山の上に聳え立つ巨大な弘法大師の石像が見える。

「母があれは何?」と聞くと「あれは弘法大師じゃ。」と自慢気に言った。

「いい景色じゃろ。またおいで」

「またちょくちょくおいで」と言った。

笑顔だった。


泣くつもりなど一切なかったのに、

外に出て駐車場から祖父のへやを見上げたら、涙があふれ出た。

祖父はもう、そんなに長くはないんだろう。

また、ちょくちょく行くから。

また、弘法大師を紹介してほしい。何度言われてもまた聞くから。


と、そんなことを思った9月1日でした。